MCシスター娘

MCシスターが、大好きだった。
しかしそのおしゃれ心は、架空の、絵空事のようなものではあったが。
なぜならそれらを私はただ眺めることしかできなかったのだから。
愛読し始めた頃、シスターが提案していたのはプレッピー・スタイルというものだった。MCはメンズ・クラブの略なのだから、その妹のファッションとしては、トラッドを基調とするのは当然。
初めてそのファッションを見た時は微妙な感じがしたのではなかったか?雪国の町、トラッドなんて見たことがなかったのだ。
でも、これが、素敵なファッションなのよ、と言い聞かせながら
なかでも衝撃だったのはL.L.Beanビーン・ブーツ。アウトドア・シュー、の名で紹介されていただろうか。アウトドアという言葉も一般的ではなかった時代、その奇怪な靴の姿は私の度肝を抜いた。
クレリック・シャツ、ボタンダウン・シャツ、チノ・パン、フェアアイル・セーター、コイン・ローファー、ペニー・ローファー、それらのアイテムを実に素敵に着崩して、リカコや安田成美はポーズを決めていた。これらのアイテムの、その形と名前との一致を、私は楽しんだろうか。
私のアイドルは吉田光希。表紙モデルもつとめていた彼女にどれほど憧れたことか・・この人になりたい、などと夢想したのが、私の中二病だったのかもしれない。(笑)
プレッピー・スタイルは全身トータルで揃えないと、ねえ。そんなの不可能。それを着るTPOがそもそもない。
DO!FAMILY。光希が着るDO!FAMILYのページ、大好きだった・・14オンスデニム、ポプリンのスカート、アイテム名、価格、写真を飽かず眺む・・ポプリンのスカート似のものも、壊れかけのミシンで繰り出したのだった。
そういえばルースターズを初めて見たのもMCシスター紙面だった。大江、花田等が、微妙なポーズをキメていた号も、たぶん実家には残されているはず。後ろのほうの記事で「ROOSTERS a-GOGO」が紹介されていたはずだが、ROOSTERSにはまるのは少し先のこと。
めいっぱいシスターに耽溺した中学3年間を終えると、定期購読は止め、時々Oliveを買う、というスタイルに切り替えたのだった。専属モデルに今井美樹が選ばれた時、なるほど、これが来る時代の美少女像と納得したのだった。健康な笑顔が印象的だった。

その後、この曲に魂をもっていかれる。