2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

閏/雪 二月二十九日

四年に一度の閏年、二月二十九日は雪で白く塗られている。 白梅が満開となるころ、空は雪を降らさずにいない。 エスキモーは白を表す言葉を幾つも持っていて、と物理学者のポリツァーも言ったように空は白くあかるく雪はもっと白く白梅は透明な水飴で象った…

科学は小説より奇なり

理系の棚から。クォーク 第2版 (ブルーバックス)作者: 南部陽一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/02/20メディア: 新書購入: 6人 クリック: 57回この商品を含むブログ (60件) を見る〈ニュートリノを当てて、出てくる粒子を見る。νeが入ってきてチャー…

野鳥の王国

西向きの窓の外、飾らない枝ぶりの白梅は八分咲き、雨の止んだ梢に群れ遊ぶメジロ。枝から枝に舞い飛んでしなやかにからだを曲げては甘いのか酸っぱいのか苦いのか蜜の味をたしかめて、よほど美味しいのか枝を震わせ花の重みで揺れる景色。金属質の声で鳴く…

『素粒子の宴』

南部陽一郎氏とポリツァー氏の対談(1979年)。若さと臨場感溢れる、素粒子物理学のお喋りが愉しい。 学者同士の相互作用は素粒子のふるまいに似て...素粒子の宴 新装版作者: 南部陽一郎,H・D・ポリツァー出版社/メーカー: 工作舎発売日: 2008/11/13メディア: …

Reunion

勅使河原三郎のダンスとの再会、タイトルは「リユニオン」。これはピアニスト、フランチェスコ・トリスターノと勅使河原三郎、伊東利穂子の南フランス(森の中の野外劇場で行われたという)でのコラボの再会の意味だそうだ。 http://eurassic.jp/reunion/#003 …

甘いおかしの日 2/14

硬派な人間なもので、バレンタインに思い出は特にありません。 が、我が家にも男子が二人おりますからその日がくるまではきっかけがあればからかってみたり気紛れにブラウニーやケーキを焼いてみたり。 この度は以前から欲しがっていたクグロフ型をデビュー…

遊読

モーリス・ブランショ『虚構の言語』から。 言語は一つの記号の言語であって、その特性は、言語が狙っているものによって満たされることではなくて、狙っているものを欠くことであり、言語がわれわれに到達させてやりたいと思う物をわれわれに与えないで、自…

はなももみぢもねむの木も 

二月一日国立能楽堂。 演目は狂言『長光』と能『弱法師』。 開演前に展示室の「観世文庫展」に足を運ぶ、正面奥のガラスの中に納まる巻物は世阿弥による自筆本「難波梅」。多くをカナで綴る筆文字は淡々と淀みなく運ぶ。「月」の文字は空に浮かぶ月におなじ…