2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ふたりのゆり

野中ユリの作品集が欲しいが高価で手が出ない。そこで手に入れた一冊は野中ユリの銅版画が挟み込まれた『ことばの食卓』武田百合子。 鉛がかった青いクロスに置かれた静物のノスタルジイ。遠い日の夏の入道雲の匂い。そして武田百合子の硝子玉のような視線が…

氷室の山の 薄氷を  砕くな砕くな 解かすな解かすな

梅雨の晴れ間の夏空、酷暑まであとどれくらいだろう。 月に一度の能楽堂の中庭は季節をそのまま見せてくれる。苔は瑞々しくもみぢは青青として、背の高い合歓木はふさふさと葉を揺らし朱赤の軽やかな花も揺れている。秋の萩の丸い葉も健やか。 狂言は『金藤…