光を発する絵画 ピサネロ

ロンドンNATIONAL GALLERYを訪れれば、必ず私の足を止めずにはいない小さな板絵《聖エウスタキスの見た幻影》を描いた人の名はピサネロPisanello(1395頃〜1455?)

ピサネロの名は父親の生まれ故郷ピサに由来する。彼はジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの弟子であり、確かに人物描写は師の作風に似て豪奢を極める。しかしピサネロの特徴は、彼の手になるブロンズや銀のメダルの中にも漂う、「瞑想」と呼ぶべき雰囲気だろう。《聖エウスタキスの見た幻影》の、暗闇に浮ぶ横向きの人物、動物、全ては何処に存在したのだろう。一瞬の幻影を小さな板に映しこめたピサネロの絵画について、私は説明する言葉をもたない。


ただ、彼の絵画から、そしてメダルから発せられるのは淡い光、丸いものが発する淡い光なのだ。そこには瞑想だけがあり、言葉を発することはない。動物の身体は丸く、丸い尻は光を発する。メダルの中のCecilia Gonzagaの額は神々しく光を発する。丸い胸、髷、背に垂れたマントからも。メダル裏の、三日月の下の厳かな、半裸の女神の腕の、胸の丸みから、長毛のユニコーンの毛並みから、角の捻れからも、何処とも知れぬ岩場のごつごつとした柔らかな石からも。
それはまるで瞑想が発する光のよう。