列車 ミニマル 反復

スティーヴ・ライヒのDIFFERENT TRAINS購入。

ミシェル・ビュトールの『心変わり』を読み終えた瞬間に、この曲が目の前に現れたときには、驚いた。
驚くにはあたらないだろうか?
『心変わり』パリからローマへ至る列車の旅、思考が反復する旅、妻のいるパリ、愛人の待つローマを往き来する旅。その心の旅を、思考の反復を、飽きもせず1ヶ月かけて楽しんだ。私はまだ揺られている、その思考の上を。
『DIFFERENT TRAINS』ミニマル・ミュージック創始者のひとりであるスティーヴ・ライヒのこの作品もまた、列車は往き来する。離婚した父母の住まい、シカゴとニューヨークを。第二次世界大戦前後の記憶が作品化されたのは1988年のこと。
演奏するクロノス・カルテットのライヴに行ったことがあるが、それが1988年だったかどうか、判然としない。もしそうならその時にこれを聴いたはずなのだが・・友人に誘われ、クロノス・カルテットの現代音楽にただ身を委ねたのだった。
六本木のWAVEだったろうか?クエイ兄弟の『ストリート・オブ・クロコダイル』を観たのもその頃だったはず・・いたく気に入った私はもう一度観に行ったのだ。
どうやら、人生は似たような場所を行きつもどりつするものらしい。そうするうちに、忘れかけたもの、掴み損ねたものを、拾い集めるのかもしれない。

心変わり (岩波文庫)

心変わり (岩波文庫)