ナポリ考古学博物館 ポンペイ

ナポリナポリ考古学博物館を訪れ、ソレントに2泊したあとポンペイに移動し、ポンペイ遺跡を見物した。
ポンペイの遺跡から発掘された数々のモザイクやフレスコ画ナポリの考古学博物館に納められているので、ポンペイを訪れるならこちらも併せて訪問すべき場所だと思う。
ポンペイはヴェスヴィオ火山の噴火により、街そのものがそっくりそのまま火山灰で覆われてしまったために、発掘によってそっくりそのままの姿を後世に伝えることとなった。陰影もろともに
フレスコ画の繊細な美しさは、この時代の文化が極めて高い水準に達していたことを物語る。モザイク装飾もしかり。
ローマ時代のモザイクは、石の濃淡の配置だけで可能な限りの表現がなされている。植物や動物による調和の表現。海産物のユーモラスな表現。働く天使たち、猟りをする天使たちの愛らしい表現。アレクサンダー大王の勇敢。
ポンペイフレスコ画はそこに哀愁を、憂いを含んだ表現に歩みを進める。生きる人間たちの幸せと欲望と哀愁とを織り交ぜて
ポンペイは、豊かさを究め、遊蕩を極め、過剰を極め、遂にはヴェスヴィオの火山の怒りを買い、灰で埋められるに至ったのだろうか。
ナポリ考古学博物館には子供は入場禁止の小部屋が設けられている。いづれいつの世にも存在し続ける欲望の、プリアプスの行列。豊穣の、豊かさのシンボルとして正当化されていたのは間違いないとしても。
ポンペイ遺跡はそれらのモザイクやフレスコ画を剥ぎ取られ、その意味、言葉を取り去った状態でゴロゴロとただ存在している。夢の跡を歩くように、何の夢だったかさえ思い出せないように、ヴェスヴィオの姿を認めながら、並ぶ列柱を、劇場跡、浴場跡を、パン屋の跡を、豪奢な館の面影を、車輪の跡を、遠足で訪れたイタリアの悪ガキたちとともに。
「ナカータ!」と呼ぶので視線を交わす。


「貝殻のヴィーナス」の住居を訪れなかったのは...残念