お城めぐり

お城というと、とんがりお屋根に薔薇の庭園、というのが子供のころのイメージではありました。
渡英したその夏の初めての旅行はフランスの、ロワール川沿いに古城が点在するロワール地方でした。私はといえば、現地での生活にも慣れていないのに旅行なんて、と実は乗り気ではありませんでした。
そんな私たちのお城デビューはヴィランドリー城。フランス式庭園幾何学的に配された庭園は薔薇がことさらに強調されることのないような、全ての花々が全体を構成する、庭園の優等生。
http://www.chateauvillandry.fr/
とんがりお屋根と白い壁、数々の居室や可愛らしい子供部屋と、絵に描いたようなお城。なかでも私が特に気に入ったのは菜園でした。庭園の一部としての菜園というわけで、花壇そのものが野菜で構成されており、色とりどりの野菜たちの花にも劣らぬ美しさ。少しアルチンボルドみたい。あるいは11月の明治神宮の宝船、野菜の実り、宝の山。
「花壇に植えればいいじゃない!」と叫んだような記憶が。畑の土臭さとは無縁のような野菜の姿が何とも新鮮でした。もちろんお野菜は収穫され、お城の住人の食卓に供されたとのこと。
ヴィランドリー城を皮切りに幾つのお城を訪れたのでしょう。ルーブル美術館もかつての宮殿なのだし、美術館として使用されている建物や、王侯貴族の館、あるいは○○城、といっても戦いに備えた城砦のこともあれば廃墟と化した夢の跡も。楽しい仕掛けのあるお城で拷問道具を見せられたり..欧州の旅はお城めぐりを意図せずにお城をめぐっている、ということにもなるようです。
ロンドンならば、バッキンガム・パレスよりもウィンザー城よりもハンプトン・コート・パレスが楽しい。ヘンリー8世ゆかりの居城は6人の妃の悲劇やエリザベス1世の憂鬱や若くして亡くなった王の悲劇や幽霊も。庭園(迷路あり)も素晴らしく、流れるテムズを船で行くのが気分。
http://www.hrp.org.uk/hamptoncourtpalace/

とりとめもないのでこのへんで失礼。シャンティーやシュノンソー、アンボワーズはいづれまた。エステ荘、バルベリーニ荘やいろいろも..
初めての旅を終える頃にはこうなっていました。「フランスも、いいわね..」