鬱紅の薔薇のルビイ 絡まる緑エメラルド

「鬱」という文字は悪戯なお庭、つかいみちを探す楽園逍遥。


             幾鬱と寝覚めのゆめは儚くて
              鬱窓の硝子のそとが小春なら
              鬱筆と窓にもくらき星のかげ
              鬱墨を置ける掠れは躊躇いを
              鬱雲の涙をそらに留めながら
              鬱白ははるか彼方を翔ける雲
              鬱紺のリボンのシルク結ぶ襞
       まちあわせ鬱樹の森の向う側
              鬱金のこゑをころした絹の箔
              鬱層と降り重なれる枯れ葉踏み
目醒めれば 藍より深き 鬱緑