きせかえ遊び

私は三姉妹だった。よく三人で遊んだが何して遊ぶ?から始まって、トランプやボードゲーム、バドミントン、その日の天候なども鑑み、「きせかえする?」の声にはいつも満場一致だった。家にはいつも画用紙が包みのままあった。わたしたちにとっての「きせかえ」は画用紙に女の子の下着姿、もちろんその時のお気に入りの目(星の入れ方に拘り)の描き方で、黒髪のストレート、栗色の巻き毛、お好みの髪型で。色鉛筆で塗ったら鋏で切り抜き、そのお人形の体型を画用紙になぞり、次々とお洋服を画用紙にびっしりと描いていく。カジュアルなセーターやシルクのブラウス、スカートにリボンやボタン、ポケット、パンタロン、お洒落なコート、フリルのワンピース、ドレス、普段は自分で身に着けないようなものも何でもあり。全て好みの色を塗って鋏で切り抜き、お洋服の肩、ウエストには折り曲げてお人形に着せるための部分を忘れずにつけておくこと。名前をつけてお人形の裏に記す、
「出来た?」
「ちょっと待ってー。」
「出来た。」
ごっこ遊びのはじまり。
「おはよう。」と会話を始める。「今日は私、今日日曜日ね。(とト書きを入れながら)これからどこそこにお買い物に行くの。」「あ、私も一緒に行くわ。」「今晩パーティーがあるんだけどあなたも来る?」「ええ、行くわ。」
状況に合わせてお洋服を次々に着せ替えてあちらへ行ったりこちらへ行ったり。
「あ、ちょっと待ってー。今、着替えてるから。」
どんなふうに遊びを終わらせたのだろう。ご飯の手伝いを言いつけられて、陽が翳ってきて、姉に別の用事ができて...いづれにしても一度使ったお人形とお洋服をまた次に使いまわすことはなく、その都度棄てていたはず、また真新しい画用紙から。