ほんとうの色

日本の色名が好き。

その色の本当らしさとその名前の本当らしさの距離が好きだと云ったらいいだろうか。そのものずばり、という色名もあれば、抽象的な色名、詩的な色名もある。自然由来の染料との関わりはそれぞれの染料の科学的側面との厳しい関係でもあるだろう。染め上がった絹の光沢はそれぞれに...女の数ほど色はある。

瓶覗き(かめのぞき) - 藍染めで、藍瓶に浸す回数が少ない、瓶を覗いただけのような薄い藍色。http://www.colordic.org/colorsample/2090.html
浅葱色(あさぎいろ) - 葱の葉の色を薄くしたような青緑。http://www.colordic.org/colorsample/2093.html
月白(げっぱく)http://www.colordic.org/colorsample/2324.html
紫苑色(しおんいろ) - 紫苑の花の色から。http://www.colordic.org/colorsample/2048.html
猩々緋(しょうじょうひ) - 中国由来の空想上の動物である猩々の血の赤色(緋色)。http://www.colordic.org/colorsample/2011.html
雀色(すずめいろ) - 雀の頭のような灰色がかった茶色。http://www.colordic.org/colorsample/2254.html夕暮れ時のことを「雀色時(すずめいろどき)」と言う。
留紺(とまりこん) - それ以上染めることのできない紺色。http://www.colordic.org/colorsample/2060.html
濡烏(ぬれがらす) - 烏の羽毛のような艶のある黒。濡れ羽色とも言う。
鶸萌黄(ひわもえぎ)http://www.colordic.org/colorsample/2458.html
海松色(みるいろ) - ミル目の緑藻である海松(みる)のような灰色がかった緑。http://www.colordic.org/colorsample/2148.html
木蘭色(もくらんじき) - 樹皮(普通はウメ)で染めた色。http://www.colordic.org/colorsample/2185.html

目も眩む、目にも綾な色と名前はかつてあった景色を想像させる。色を絹に移す(映す)寡黙な仕事を想像する。色と名前が出逢うただ一点に、ほんとうの色があるのだろうか。