どんな花

時々気付いてはいたのですが、蔓性植物が好きです。
昨日も買い物に行く途中、思わず立ち止まって見入ってしまったのは蔓性の小さな紫の花でした。娘と一緒だったので「可愛いね」と口にすることができましたが
蔓性植物の螺旋に巻いた蔓の先端が風に揺れ、どこかに掴まろうとしているさまも好きですが、掴んだ瞬間を見たことはありません。当然ですが
子供の頃住んでいた家にはフェンスに薔薇がからまっていましたが、あれは蔓薔薇だったのか場所柄からまっていただけなのかはっきりしません。ごく薄いピンクで色は気に入っていたのですが、蕾、そして咲き始めはたいへん綺麗なのですが、すぐに椿のように開いてしまうのが何だか嫌だったような
だからその薔薇を凝視したことはあまりありません。(咲いてる咲いてる)と横目で確認しながら通り過ぎる感じで。父は庭木にはこだわりがあったような・・珍しげな枝ぶり、花の形が面白いものを植えていたような記憶はあります。母は草花が好きでその時の気分であれこれと花を咲かせて楽しんでいました。私はそんな風景はあたりまえなものだと思い込んでいました。花が咲くので蝶もたくさんやってくるわけですが、あのころの揚羽蝶がもっと大きかったように感じられるのは気のせいでしょうか。父はそれを捕まえて、虫ピンで壁に留めつけたりしていましたが、母は(残酷なことを)という感じで快くは思っていなかったようですが、私たち子供は(綺麗だからいいじゃない)と気に入っていました。アオスジアゲハの分布の北端は東北南部のようですので、上京してそれを初めて見たときの感激は格別でした。こんなに綺麗な蝶がいるの!

蔓性植物の話でした。クレマチス。父がしつこいくらいに好きだと言っていた花、紫の、薄紫の、白の、花弁の形、質感、雄蕊の形、葉の形、そして鉄線と呼ばれるゆえんの蔓の鉄色。モンタナという種類の4弁のピンクの種類も大好きですが、高温多湿の日本ではこれまた栽培が難しいようです。
クレマチスは英国でも蔓薔薇とともに咲かせる花としてたいへん身近なものでした。なにより、煉瓦の壁との相性が抜群なのですね。
薔薇ならば、アイアンや木のトレリスに絡ませた蔓薔薇のトンネルを逍遥する幸せ。色はイングリッシュ・ローズと呼ばれる濃い目のピンク、花は小ぶりで、イングリッシュ・ローズ特有の花弁がびっしり重なりあって決して雄蕊を見せないこと。たくさん咲くこと。
ピンクという色はあまり好きではないのですが、英国の庭園の、緑溢れる敷地内の蔓薔薇が見せる花色は大好きと叫びたいほど・・
学校の送り迎えの途上で煉瓦塀に咲く時計草を見つけたら必ず立ち止まったものでした。同じく煉瓦塀にかぶさるクレマチス・モンタナもごくさりげなく自然で
ときどき還る記憶のなかの秘密の花園