ムーミンという不思議

♪ミドリの森って何処だろな♪  (だったかな)
このメロディー、何かしら得体のしれぬような不安なものがあって...
ムーミンというとテレビで見るものであって本で読むものとは思っていなかったようなふしがあるのですが、イギリスではおおいに読まれているのでした。

Finn Family Moomintroll (Moomin's Fiction)

Finn Family Moomintroll (Moomin's Fiction)

Tales from Moominvalley

Tales from Moominvalley

息子もyear2の頃(日本での1年生くらい)、絵本を卒業して長めの本のスタートとしてムーミンを選んだ記憶があります。その年齢の子供が自分で読むこともでき、親が読んであげることもできる、そんな本でした。
講談社文庫の日本語訳もありましたので希望によってはそれを読んであげるのですが、そうすると何ともいえない雰囲気が、得体のしれない暗さが漂うのでした。
翻訳の日本語自体は決して難しくはなく、簡明で子供でも十分に理解できるのに、その暗さが子供向きではないような気がしてきます。
そして英語のムーミンのほうは、全く同じことが書かれているのにもかかわらず子供の頭で、詩情を汲み取れるような、乾いた簡明さがあるようでした。
娘に聞いてみると、そのとおりだ、という答えでした。日本語訳は簡明な言葉で書かれた大人のための童話になってしまうようです。
この違いはどこからくるのでしょう。というよりも、ムーミンの世界は私には完全には知ることのできないものだという感じがします。
それは北欧の、フィンランドの時間、昼夜の、季節の感覚は私の知らない、そして容認できないほどのものではないかと思えるからです。
イギリスの子供が容易にムーミンの感覚を受容れられるのは、緯度が高いため時間、季節の変化が少しは北欧に近く、その世界観が想像できるせいかもしれません。
イギリスの子供たちはうまれながらに長い夏の1日を、短い冬の1日を、まだまだ明るい時刻にベッドに入る不条理を、まだ明けきらない朝に学校に出かけ、帰る頃には既に暗いクリスマス・シーズンを、春の到来を喜ぶイースターを、昼永く夜短き夏至を繰り返すうち、どこかしら人生の悲哀を幼いころから身につけるのではないか、そんな気がします。
たのしいムーミン一家 (講談社文庫)

たのしいムーミン一家 (講談社文庫)

ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫)

ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫)