回る円盤

20年以上ずっと好きなもの。20年以上ずっと忘れていたもの。
最近入手した2枚はこちら

AFTER LOUD

AFTER LOUD

love to sleep

love to sleep

1年前の最新作AFTER LOUDと1995年のlove to sleep。
ずっと忘却していたのはあるいは正しかったのか...今でも変わらず好きと素直にうけいれる。天才、孤高と呼ばれながらのらりくらりと、細々と、密かに続けられる音楽活動。新作に一喜一憂することのないこれらの円盤は、忘れていたせいなのか、どれもこれも愉しい。彼の音楽はどこかタイムマシンに似ている。いつ?うん、いつ。彼らの音楽に出会ったのは1987年、DIP THE FLAGとして活動を始めた頃で、特徴である歪んだギターに、声も歪ませて歌っていた。精一杯の鎧で固めて。何故好きなのかを知らず、ただ聴きたかった。彼は「うたう意味」をうたっていたのだろうか。
そして今も少しも変わっていないように思えるのは「うたう意味」を問い続けているからかもしれない。「ナゼ オマエハ ウタウ?」答える代わりに彼はただうたう、ギターで、声で、コトバは遊んで。彼はいつもそこに戻って行く。高速回転で回りながら、眠りのなかへ、ギターの音で、甘い声で、うたい始めたところへ。
闇深く潜って拾って還ったその宝物はとても素敵に見える。歪んでいるのに耀いて、痛みを伴いながら甘やかで、重いのに柔らかく、記憶が軋むような。泣いているのか笑っているのか真剣なのかふざけているのか、不思議な共犯関係を強いるような...
それらの宝物をちょっとだけ見せはするが、渡すつもりはないのかもしれない。