萬葉集

 
霞立 長春日乃 晩家流 和豆肝之良受 村肝乃 心乎痛見 奴要子鳥 卜嘆居者 珠手次 懸乃宜久 遠神 吾大王乃 行幸能 山越風乃 獨座 吾衣手尓 朝夕尓 還比奴礼婆 大夫登 念有我母 草枕 客尓之有者 思遣 鶴寸乎白土 網能浦之 海をと女等之 焼塩乃 念曽所焼 吾下情
かすみたつ ながきはるひの くれにける わづきもしらず むらきもの こころをいたみ ぬえこどり うらなけをれば たまだすき かけのよろしく とほつかみ わがおほきみの いでましの やまこすかぜの ひとりをる わがころもでに あさよひに かへらひぬれば ますらをと おもへるわれも くさまくら たびにしあれば おもひやる たづきをしらに あみのうらの あまをとめらが やくしほの おもひぞやくる わがしたごころ
(巻第一 雑歌 五)
反歌
山越乃 風乎時時見 寝夜不落 家在妹乎 懸而小竹櫃 
やまごしの かぜをときじみ ぬるよおちず いへなるいもを かけてしのひつ
(巻第一 雑歌 六)
右検日本書紀 無幸於讃岐國 亦軍王未詳也 但山上憶良大夫類聚花林曰記曰 天皇十一年己辛冬十二月己巳朔壬午幸干伊与温湯宮  一書是時宮前在二樹木 此二樹斑鳩比米二鳥大集 時勅多稲穂而養之 及作歌 若疑従此便幸之歎