岡本太郎展

三連休中に近代美術館で開催されている岡本太郎展に行ってきた。のどかな春の日にも似た、ちょうど桜が咲くころのような陽気。電車は空いていて、街も空いているように見えたが、展覧会は盛況だった。若い人が多い、シュルレアリスム展の時と同じような年齢層。
芸術は爆発だ」の言はあまりにも有名だが、彼の作品はエネルギーそのものを映している。時の世をそのままに映した鏡のようだ。燃える炎のような、雷鳴にも似た電気の、爆発する欲望を、感ずるままに映していた。(映画に関する話題でもないのに映のカテゴリーに入れたのはその為)
戦後、日本は驚くべき速さで復興していったのだろう。戦後2,3年の作品に既に明るさが芽生え、エネルギーの横溢がみられる。50年代には楽観と安定と豊かさへの強い欲望が透けて見える。60年代には享楽と狂騒、過剰な回転。そして太陽の塔岡本太郎の筆が繰り出す色と形からは、プラスとマイナスの果てしない転回が見える。陰と陽と言い換えても同じこと。過剰なスピードで生死を繰り返すめくるめく欲望を映す。
大阪万博の為に造られた<太陽の塔>。この実物をわたしはみたことはない。巨大な自画像のような、両腕を広げて太陽に何かを問うような姿。岡本太郎は常に問いを発し続けていたのだろう。
「たった一人でもノンと言うこと」重い言葉。途中でサインがTAROに変わる。ただタローと呼んでも良さそう。太陽の子、TARO。

桜は未だ。梅とミツマタ沈丁花、紫や白の木蓮薫る春。