LONDON 一日目

娘と二人旅。
夕刻にヒースローに到着してタクシーのほうが楽だが窓口に並びオイスターカード二枚を購入する。地下鉄ピカデリー・ラインからディストリクト・ラインに乗り換えて懐かしいリッチモンドの駅に着くとまだ明るい。旅のお宿はヒルの上のリッチモンド・ゲート・ホテルに予約をとってある。タクシーでホテルへ。チェックインを済ませて案内されたツインルームはこじんまりとしている。茶とモスグリーンで色調を渋く纏めた温かみのあるファブリック。窓から煉瓦の建物を眺める。
暗くならないうちに食事に出ましょうか。
外に出ると間もなくテムズの湾曲した景色が望める。

パブで買ったビールのジョッキ片手に歓談する人、ジョギングする人、犬の散歩と賑やか。テラス・ガーデンズは間もなく門に施錠をする時刻だろうか、子どもたちが登って腰掛けたマグノリアの木、美しい花壇も見える。坂を下りて橋の袂のオデオン映画館の前を通りノルマンディ料理店シェ・リンゼイに入る。娘も大学生になったことだし飲み物はりんごのお酒シードルを、娘はスープ、トマトとチーズのガレット(そば粉のクレープ)を、わたしはトマトサラダ、卵とチーズのガレットを注文。シードルは素朴な茶色の陶器のピッチャーから陶器の器に注ぐ。こじんまりとした店内のテーブルにはキャンドルが灯され、暗めの照明が接触不良なのか時折消える。ああ、この国に来たのだなあ...シードルの柔らかな泡にガレットがおいしい。
外は既に暗い、また坂を登って...娘と二人で時を飛び越えて、またこうして歩いているみたい。
ホテルの部屋に帰りコーヒー紅茶を飲んで、明日の朝食はお部屋に運んでもらいましょうか?注文書をドアの下にすべらせる。