LONDON三日目午後の部

お昼は簡単に済ませて次はクィーンズ・ギャラリーにて開催されているレオナルド・ダ・ヴィンチの手になる解剖図展に向う。
セント・ジェイムズズ・パークの駅で降り、出口はどちらから?と表示に目を留めた瞬間、「どちらに行きたいのですか?」と英国紳士。咄嗟に答えやすいようにと気を回し「バッキンガム・パレスに行きたいのです。」「バッキンガム・パレス?あちらの出口からおいでなさい。」と親切に応答される。ありがとうとにこやかに別れたものの、わたし、バッキンガム・パレスに行きたいんじゃないの、クイーンズ・ギャラリーのダ・ヴィンチの解剖図を見に行きたいのよと娘に訴えかける。凡庸な観光地で答えてしまった自分に悔しがる自分が愚かで莫迦みたい。親切に親切で答える悪い例。

クイーンズ・ギャラリーのチケットは学生割引があるようだ。娘が私は学生ですが今日は学生証を持っていないのです、などと、チケットを買う。セキュリティ・チェックを通り荷物をクロークに預け、化粧室は広々としている。ハンド・ソープを泡立てながら女王様はモルトン・ブラウンをお使いかしら?と無駄口。
展示室はさほど混んでいないがある種の緊張感を感じる。カメラ使用禁止の表示はない...撮っていいの?早速カメラやアイフォンを向ける人達、撮っていいの?

貴重な、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿、精密に描きこまれた細部、鏡文字、両面に描かれた手稿は両面をガラスで挟んだ額縁で展示されている。この時期にロンドンに来て良かった。
もっとデッサンというかメモのような筆致を想像していたが、一枚一枚に込められた「知」への執心に圧倒される。骨を描いたもの、筋肉を描いたもの、神経を描いたもの、輪切りにしたもの、心臓の構造...それぞれがどのように関わり、人体を動かすのか、何が人体を動かすのか、それを自分でたしかめなければならないという気魂。
熊の脚の骨を描いた青い紙に白でハイライトを入れた図も美しい。筋肉の捩れや結ぶような重なりも、関節で繋がった骨格の構造も...人体は美しい。

自然史博物館に部分拡大図が展示されていて驚いたことのあるこちらもせっかくなので載せておきましょう。ダ・ヴィンチにとっては処女懐胎の問題との関わりからも重要な部分かと。

256頁にわたる図録は夫へのお土産に、と。息子にはダミアン・ハーストの髑髏が一回転するぱらぱら絵本。娘はダミアン・ハーストの図録を買いました。バッキンガム・パレス前、横の芝生で一休みしてからグリーン・パークをグリーン・パーク駅まで斜めに突っ切って地下鉄に。ハロッズは...寄らなくていいわね?
夕食はWaitroseでチーズと葡萄、フィッシュケーク、ハム、パンとサラダにデザートを買い込んでホテルのお部屋でいただきました。エコバッグが欲しくて寄ったら楽しくなってそうなりました。