京都旅 その2 賀茂社の神威

上賀茂神社、神様の鎮まるところ。
朱い一之鳥居を抜け、馬場殿を行く。細殿前の立砂、以外に小さい。想像では3割増しくらいだった。きれいな円錐形、どうやってつくるのかしら?朱い楼門前の玉橋は神様の通り道、我々は通ることはできない。「特別公開」これはぜひ参加したい、「大人二人、高校生一人お願いします」大人800円、高校生400円で3名で2000円の初穂料。靴を脱ぎ、中でお待ちください、とのこと。
既に待つ人4名、私たち3名にあとから4名ほどはいったところで神職登場。上賀茂神社に伝わる神話を拝聴する。玉依姫が河上から流れてきた丹塗矢を床の間に安置して眠ったところ御懐妊、うまれた子供がこちらの御祭神、可茂別雷命、アマツカミの子であるということを述べ、天井を破って昇天されたという。雷神、降雨の神様である。神職祝詞、独特の作法、お祓いを受けて本殿前へ。
「見て、キラキラの狛犬!」思わず娘に耳打ちしてしまう。本殿、権殿と寸分違わぬお社が二つ並ぶ。本殿が常に神様が座すお社、権殿は本殿に万が一のことがあった時のためのお社、とのこと、なんと用意の良い。本殿前には透廊(すいろう)、祝詞舎などがあり少々見え辛いが権殿が同じ造りなのでそれを見ればよいという。三間社流造り、桧皮葺の屋根、漆喰で固めた亀腹、向かって右が金の獅子、左が銀の煌びやかな狛犬、はめ板に映ったといわれる影狛、赤漆の階、飾り金具、どれをとっても麗しきこと限りなし!平成27年には第42回の式年遷宮を迎える、国宝なので全て造りかえることはできないので桧皮葺を葺き替え、古い部分の修理を行う、2000円で、桧皮1枚に名前と願いを書き入れることができるという神職の説明を聞きながら、この光景を記憶に焼き付けようと瞳をこらす。それでは二礼二拍手(だったかな?)でお参りをして退場、というので順次お参りをするが、二礼二拍手と心で唱えていたにもかかわらず、いきなりパン、とやってしまう。(あ、まちがえちゃった、神様ごめんなさい)失敗した私はぎこちなく二礼二拍手、礼をして退く。神職が見送りをして下さるが「ありがとうございました」と当世風の挨拶をするのがいやな気がして一礼して、去る。桧皮が並べてあり、ご協力いただける方はどうぞ、といった体で待ち受けているが、名前も入れたい、願いも書き入れたい、屋根の一部に葺いてもらいたい、という思いもやまやまであるが、さっき初穂料3人分2000円払ったところだし、さらに2000円はちょっと、と通り過ぎる。最後に高倉殿でご神宝を観賞、学生アルバイトさんのたどたどしいガイド、御神服、御神刀等、あらゆるものが葵、葵、葵の神紋入り、可愛い!そしてやはり記念のお守りゲットタイム、母の影響か?賀茂社好きの娘が悩む悩む!とサーっと雨も降ってきた。お悩みタイムもすんでお守り授与テントから出、二之鳥居をでたあたりでパーっと晴れてくる。なんだか自在に天候が移り変わるのがどうも不思議。
お昼時ではありますが、義母はこのへんでホテルに帰って一休みするという。私たちは金閣寺あたりへ移動しますか?市バス46で千本北大路から徒歩10分、バスを降りたら雲行きがまた大いに怪しい、傘がきっと必要よねえ。金閣寺どっちかしら?と思った瞬間市バス59が通って行く。ああ、あれがいく方にいけばいいのね。とある店先の看板?にいかにも使われてはいないらしき傘が数本かかっている。自転車屋さんのよう、店内にはこちらに背を向け一心に自転車の手入れをする青年一人、傘、空、を見比べた私はおもむろに店内へ。「すみません」「はい」「こちらに傘がたくさんありますけれど、もし、使っていない傘がありましたら..」「あ、それ全部使っていないものですから」「よろしいですか?」「はい、いいですよ」1本、選んで「ではこちら、よろしいですか?」「はい、いいですよ」「ありがとうございます」と一礼し、去る。今朝晴れてたから傘ホテルにおいてきちゃってー、などと言い訳するのもおばさんぽい気がして、言葉少なにやや強引に頂いてしまった傘、名付けてゲット傘。「スゴイでしょ」「うん、スゴイ」少々驚いた娘。10分の徒歩、寒さも増し、降ったり、やんだり、開いたり、閉じたり、ゲット傘いきなり活躍。金閣寺が近付くと急に人が増す。お腹も空いたし、近くの茶店でにしんそば、食後にわらびもちをいただく、ふわふわでおいしい。奥まっているせいか紅葉も色付きはじめている。金閣寺は初めて、ぴかぴかで、きれい。舞妓姿の七五三の女の子が大人気、女子高生や外国人観光客にとりかこまれている。ここは一大観光地、ぞろぞろと行く、ぱらぱらと降る、と緋毛氈席と「お茶どころ」の看板が目に入る、「この天気じゃお茶どころじゃないわよね」「うん」「これ一応駄洒落なんだけど」「あはは」家族にしか繰り出せないベタなダジャレ。家族、それは究極のリラックス。
土産物店のお菓子の試食などつまんでバス停留所へ、そろそろ夫、息子と落ち合う時刻。バスがなかなか来ない、「わ!」と声が、前方をみると虹がでている、「わあ!」と思わず声が出る。ビルで遮られたこちら側にも弧を描いている。「わあ!」ともう1度声が出る。大きな虹。其処此処で「あ!」などと歓声が上がる。なるほど、降ったり、やんだり、晴れたりの繰り返しだったものねえ。
降らせるも、晴れるも、思いのまま、虹で優しさまでも感じさせてくれた賀茂社の神威に感服。ゲット傘のおまけ付き?

賀茂社―上賀茂神社・下鴨神社 (日本の古社)

賀茂社―上賀茂神社・下鴨神社 (日本の古社)

この本、大好きです。淡交社の本はとても好きですが、三好和義氏の美しい写真の数々、岡野弘彦氏、竹西寛子氏、川瀬敏郎氏と、いずれ譲らぬ式子内親王玉依姫を想う執筆陣。