京都旅 糺の森を行く

さあ、忘れないうちに綴っておかないと。

最終日、目覚めるときれいに晴れている(昨日と同じ)。天気予報でも雨は降らないと言っているが昨日で懲りた私は折りたたみ傘をバッグにしのばせる。朝食を済ませ、荷造りを済ませ、チェックアウト。トランクは宅急便で送り、必要な荷物は京都駅のロッカーに入れていざ観光へ。
今日の予定は下鴨神社と宇治の平等院へというコース。一人の時は自分でもちろん考えるが、夫と一緒の時は全ておまかせモードに入ってしまう。乗るバス、降りる場所もチェックしていなかった!私の希望は糺の森をぬけて下鴨神社に至る、というのだが、出町柳あたりでおりていいのか、義母の疲れを考えるとできるだけ糺の森の寸前で降りたい、というあいまいな考えしかない。降りるとこ考えて、とガイドブックを渡される。じゃあこの、葵御園橋ね、と停留所を決めるが、出町柳も過ぎ、もうそろそろ?と思うが停留所名が出てこない、向こうに森は見えるし「葵橋」を過ぎ「次は糺の森」と出た瞬間にあ、来すぎた!と夫と同時に悟る。あわててバスを降りて森方向に行くと既に朱の鳥居が見えている。
すがすがしい、きれいな森。糺の森という神秘的な名からもっと鬱蒼とした、神威こもる森をイメージしていたがもっと明るい、親しみやすい森だった。さざれ石がある。小さな石を集めてひとつの岩にまとまったような、これが「君が代」に詠われるいわおとなりて、という状態なのか?まだ、苔むしてはいないようである。上賀茂神社より親しみやすい感じで七五三詣りに訪れる人や結婚式の人々も。振袖がよく似合う場所である。
お参りした後はお守りゲットタイム。娘と私はここの名作、双葉葵守り、夫は息子のために学業成就守りを手にとっている。こちらのほうが、らしいんじゃない?とジーンズ生地に葵のご紋の彦守に差し替える私、(学業はどうなるのか?)ともかく、お守りを巫女さんから授与される。「巫女さん、声ちっちゃい」と息子がしきりに言っている。声ちっちゃくて可愛いでしょ、と言いそうになるがそういう言葉は引っ込める。
ゆっくり、糺の森を歩いて行く。皆、この場所が気に入ったみたい。古代祭祀跡がある、いつ、どのような祭祀がおこなわれていたのか?二つの川が一つに合い、まっすぐ南に注ぐ、この京のための川。その根元に座す賀茂御祖神社、祭神は上賀茂神社の祭神、賀茂別雷命の母君、玉依媛とその父親、賀茂建角身命。ここに都が遷るはるか昔から、いつか必ず都が置かれることを見越してか、要となる水源を押さえ、恵の雨をもたらす神事を守り続けてきた一族、カモ氏。先祖は神武天皇を先導したヤタガラスであるという。糺の森の南端、賀茂川と高野川が合うあたりに河合神社がある。ご祭神はヤタガラス、先見の明と神の意思に忠実な一族、ということか。
糺の森を出る。日本家屋が並んでいる。「いいわねえ、こんなところに、住んでみたいわねえ」「ママ、理想高過ぎ」と娘にたしなめられる。
「うん、理想。憧れってことで」
「ああ、憧れね」
そう、憧れ。