本について

本が好き。
何でも読む、というわけではない。
文体が好きになれなければ読み進むことができない。
特に最近は小説というものをほとんど読まない。
若い頃は倉橋由美子が好きだった。
好きな小説はフローベールの「感情教育」とメリメの「カルメン」とラファイエット夫人の「クレーヴの奥方」。
子供を身ごもったころから突然歴史に興味をもつようになり、図書館の歴史コーナーの本を気の向くままに読むようになる。万葉の時代から世阿弥までが興味の対象である。
最近は歴女、という歴史好きの女子が多いようである。私もそんな1人かもしれないが、戦国時代には全く興味がない。戦国武将の名は殆ど知らない。江戸時代にも、全く興味がない。
どうやら興味の対象は、歌にかかわる人々、半島から渡ってきた人々、心を伝えようとした人々、誤解されたままの人々について、のようである。
日本の歴史について、これを読めば全てわかる、というような本はない。1冊を鵜呑みに出来るような本はないし、この点は参考にできるか、考慮の余地がある、というようなものがばらばらに存在しているだけである。
それでもやはり「日本書紀」は大変興味深い書物で、これに書かれていることが全て正しい、と信じる人がいるのは頷けるような、魅力的な書物である、と思う。
藤原定家の日記「明月記」の訓読版を図書館から借りて読んだ事がある。(全て通読したのではなく、ところどころ拾い読みをしただけだが)本当は手元に置いて時々めくってみたい書物である。
ロンドン時代に、白洲正子をまとめて読んだ。だいぶ影響を受けたものである。
興味の対象が日本だけ、というわけでももちろんない。人間が、なにをなしてきたのか、その記録が書物というものに蓄積されている、と思うだけでもわくわくする。一生かかっても読みきれないほどの。全てを知ることはできないにしても。