根津美術館

リニューアル後の根津美術館に行った。20年ぶり。

http://www.nezu-muse.or.jp/

同じ場所に、見知らぬ建物が建っている。エントランスは竹がモダンにあしらわれている。草月流風の、東京の、現代の和のかたち。以前はどんな建物だったか?もはや思い出せない。
だしものは「陶磁器ふたつの愉楽 観るやきもの・使ううつわ」青磁が多い。シンプル且つ完成されたカタチに青い釉薬の色、肌合いで美しさを競う。白磁、志野、三島など、抑制のきいた趣味のものが多い。
興味深いのは展示室4の古代中国、殷の時代の青銅器の数々。これらは3千年以上前の人類の痕跡である。人間が、これでいったい何をなそうとしたのか?神に対する想像力。このようなカタチで神に問うのがふさわしい、と考えた人々がいる。想像力をはるかに超えるものを創造する、神に問う、答えを知ろうとする、言葉が生まれる、文字が生まれる。
このような青銅器を前にすると思い浮かぶのは一生を漢字研究に捧げた白川静氏のこと。万葉集の研究のために中国の詩の研究に足を踏み入れ、甲骨文、金文研究、漢字の森にたった一人踏み分けていった巨人。

前に来たときは国宝尾形光琳の杜若図を見た記憶があるが、もうこれはいつも見られるわけではないらしい。庭は以前と変わっていない印象。あの頃から、庭園めぐりが好きだった。