九曜紋 「細川家の至宝展」

余程ぼんやりしていたのでしょう。(いつから?)
昨日、雨の中、上野まで行ったのですが、「長谷川等伯展」を見るために。ここで?された方もいらっしゃるかもしれません。会期を確かめてみると、2月23日から3月22日と、極端に短い!3ヶ月くらい、やってるんじゃない?と思い込んでいた私は、電車に乗り込んだ時点で、なんとなく嫌な予感がしたものの、なんとかなるでしょ、と読書『即興演奏』ミシェル・ビュトールに熱中。移動しながらの読書が効く。思考は旋回し、起点にぴたりと合った。
さて、上野公園についてみると、「細川家の至宝」のポスターが。4月20日からやってるらしい。わー、でも、せっかく来たんだし、何事も発見に繋がるのだから、と励まし進む。
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=X00&processId=00
平成館前も閑散としている。去年の「阿修羅展」のときは、長々とうねうねと続く行列に、上京していた父母、帰国していた姉と共に並んだのだった。パラソルの貸し出しも行われていた暑い日だった。
中に入ると結構な人出。九曜紋のオンパレード、細川家と私の実家の御紋は同じらしい。錦の旗、豪奢な鎧兜が並ぶ。なかなか、楽しいじゃない?「紅糸威しの鎧着て」「黒糸威しの鎧着て」『平家物語』で盛んに繰り返される、鎧兜の様々な意匠を見るような。しかしどれも使用された形跡はない豪奢なもの(17,18世紀)。兜、これらは実戦で使えないでしょう!長ーい角を模した兜、長ーい鳥の羽をてっぺんにあしらった兜。

可愛らしい具足。蝶番(ちょうつがい)、その名の通りの、蝶の形の蝶番で留められた具足、お洒落すぎるでしょう!
「軍配団扇」これって、お相撲で行司さんが持ってる、あれ?軍配を執る、軍配を指揮する、偉そうに、結局は戦争なんて子供っぽい遊びみたいなものでは?という気がしてくる。
織田信長朱印状」「明智光秀覚書」宮本武蔵「鵜図」超有名人のゆかりの品々が並べられているようだが、戦国時代、及び江戸時代に関して門外漢の私は物珍しそうに眺めるばかりだが、云々(しかじか)言ふ人多し。歴女かしら?と思うが、年齢層は高め。
杉山行直筆の「富士登山図巻」富士の火口部をアップで描写。鐘や、周囲に巡らされた道が細く描かれている。一周できるらしい、そして「八方見おろし」のパノラマ図。長い図巻は、火口周囲を巡りながら描きとったものだろうか。
能装束。唐織「鬱金地花菱桜牡丹菊鳳凰文様」は鬱金と呼ばれるその金の色そのものが、優しい。厚板唐織「紅萌黄段亀甲桐雲版文様」は、地の紅と萌黄の段染めの、色の移ろい、その上に色とりどりの亀甲が埋め尽くすが、それぞれの色が、卒倒するほど、美しい。
雲谷等哲筆「柿本人麻呂像」「ほのぼのとあかしの浦の朝霧に島かくれ行舟をしぞ思ふ」古今伝授、伝授することを伝授しようという。
細川幽斎筆 和歌短冊「御披露」「いにしへも今もかわらぬ世中にこころのたねをのこすことの葉」幽斎は人気者らしい、親しげに呼ぶ婦人多し。
茶道具。細川家は大きなものを好むのだろうか。中国金時代の「油滴天目」は黒の油滴がモダンな印象。朝鮮時代の「粉引茶碗 大高麗」は本当に大きい。いづれもお茶のみどりが映えることでしょう。
近代絵画も。アンリ・マティスの「縞ジャケット」は、紺が効いた数色の、洗練された作風が新鮮。
ちらしにも採用されている中国戦国時代(前4〜前3世紀)「金銀錯狩猟文鏡」は、ケルト文様に似ている。時代もほぼ同じだが、関連はあるのだろうか。
とまあ、めいっぱい楽しんで外に出ると、雨はやみ気温が下降している。メモをとったこちらが丁度いいみたい。
ほのかにも明行空の雨晴て 日野少納言