『カポディモンテ美術館展』まとめ

ヴァザーリのこの絵画!
ジョルジョ・ヴァザーリ《キリストの復活》1545年

この、楽しげに駆け出すキリストの姿を見れば、ヴァザーリのいう神の姿がいかに天真爛漫なものであったかがわかるというもので・・
ルネサンス画人伝』を著したヴァザーリは、それゆえに大人物とされるのだし、もし『画人伝』がなかったら、と考えると、それだけで美術史はたいへん殺風景なものとなっていたのは明らかで、それだけで、それゆえに彼は賞賛に値する。
彼がもしこれほど天真爛漫に数々の大画家達を賞賛の言葉で述べ立てなかったとしたら・・
そして、それを書かせたのもまた彼自身の天真爛漫さ、嫉妬を知らず、自身の絵画をことさらに卑下することもなく、楽しげに語るその語り口ときたら、それだけで賞賛に値する。
少しの作為、誇張があったといって、それも私たち(全く後世の)を喜ばすとしたら、それも賞賛に値する。
この、絵画を、彫刻を、美を愛してやまない人物のことを、私はたまらなく思う。
神は決して沈鬱な表情をしてはいない、決して絶望しないと語るようだから。

ルネサンス画人伝

ルネサンス画人伝