感動! 銀閣寺

銀閣寺を訪れるのは修学旅行以来。
バス停から哲学の道を辿りつつ暑い、暑いの吐息と共に登る。大観光地、道行く人も意識は朦朧は同様のようで、しかし東山と銀閣の庭園の緑が迫るにつれ期待はいや増す。入るや否や格好良い。総門から中門への参道は椿の大刈込の生垣を行く、期待、期待。
すぐに銀閣(観音殿)は見えるが直ちに凄いというものでもない。それよりも銀砂灘(ぎんしゃだん)や向月台(こうげつだい)のモダンな、幾何的な意匠に目は奪われる。
庭園を行く、厚い、暑い、と朦朧のなかで見る緑の色は...至福の色。松の濃き緑、もみじはまだ若葉の色、瑞々しい、夥しい緑、そして地面を覆う苔の色。様々な苔の形、姿、色、高温多湿に余程順応しているらしく、余裕の美しさで我々を迎える。シンジラレナイ...ほど、美しいので、感動。
いつのまにか斜面を登りきらされていたらしい。それほど歩いたわけでもなさそうなのに銀閣は庭園の向こうに納まりよく納まっている。横には白き百日紅が仄かに照らすように揺れている。銀閣の屋根の反りが陽に照らされて光っている。その耀きかたの仄かなこと、杮(こけら)葺きの屋根の反りは、おそらくどの時間帯であってもいづれかの反りが耀くように仕組まれているのでしょう。マテリアルこそが重要だ、と誰かがいっていたように、たしかな素材はほんとうの輝きをもたらす。
うちのめされたまま降りて行く、苔の色にもうちのめされて。
帰りの大刈込の生垣はまた違った表情を見せる。片側は二段に分けて刈り込まれているが、その隙間の奥の竹林が垣間見られる。ひどくモダンな、幾何的な様式で魅せる。刈り込まれた大きな四角の濃き緑の奥に、ランダムな縦の線、淡い竹の緑を奥行きとともにちらりと配する。見事。