智積院

三十三間堂の次は国立博物館で涼しい時間と昼食でも、と思ったら常設は改装中とのこと。近そうな智積院に寄って長谷川等伯を見ることに。バスを待って乗り、次のバス停で降りる。何のことはない、歩いたほうが早かったみたい。
人影もない、長谷川等伯の国宝障壁画が展示されている建物に靴を脱いで入る。1組の先客と入れ違いになり、ひとりで堪能することに。冷房が効きすぎて気持ち良い。
楓図、等伯の息子、久蔵による桜図、松に秋草図、松に黄蜀葵(とろろあおい)図。等伯の絵画には生命力が宿る。狩野派におそれられ、妬まれるだけの勢いが、自然への愛が絵画への愛として描き込まれている。
松葉が笑っている。桜もこぼれるように笑い、黄蜀葵、秋草は揺れている。躍動感。等伯、久蔵親子の作風は似ている。
久蔵25歳の作の桜図の桜の見事なこと。一輪一輪の花の重み、こぼれるように愛らしく、ほんとうの桜以上に可愛らしい。翌年26歳で久蔵は急逝する。
久蔵を失ったあとに描かれた楓図には凄みがある。