理研 RIBF

理研(理化学研究所)の仁科加速器研究センターRIBF(RIビームファクトリー)の見学会に行ってきた。

鉄塊でできた厚い扉。液体ヘリウムの超低音を利用した超伝導の技術により実現した装置。原子核を光速の70%の速度まで回転させぶつけることにより未知の原子核の構造を明らかにできるという。目に見えないものを見る為の。

仁科加速器研究センターにあるレゴで模した核図表<ハイゼンベルクの谷>、お土産に頂いたポスターは解説も解りやすく、じわじわくる。

夥しい数の不安定核の「存在」。超新星爆発(恒星の死)の際に放出される大量の中性子と陽子との結合の多くは数的不均衡の為に崩壊を免れ得ない。それら不安定な核も自らを維持する様々な形状をとるという。
「みかん型の核や、バナナ型の核もあるんですね。」
核は球体である―(安定する)核は球体である

何だか、地球というのは過酷な宇宙の歴史を掻い潜ってきた老残兵か...それとも幾多の困難を華々しく勝利した貴公子...さあ、どちら?
赤赤と燃えるあたたかな太陽は無邪気な水素の核融合だ。邪気無く燃える恒星に養われる宇宙の塵をあつめた惑星で、宇宙のはじまりから終りまで全てを知りたい記述したい科学者たちの夢の装置。

宇宙核物理学入門―元素に刻まれたビッグバンの証拠 (ブルーバックス)

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どのプロセスでも安定核が次々に作られていったのではなく、不安定核が重要な働きをしている。恒星中での燃焼しかり、rp過程やR過程においては、安定線から遠く離れた不安定核が次々と作られていく。プロセスの終盤、不安定核がベータ崩壊して安定核ができるのである。

図書館で借りておさらい。正にRIBF計画中の10年前に書かれた研究者の地道な研究の中に現れるおかしな数値、導き出される意外な真実。疑問という知に至る扉。