積読主義

量子力学 I (物理学大系―基礎物理篇)

量子力学 I (物理学大系―基礎物理篇)

お薦めいただいたこちらは朝永振一郎博士の教科書。文体確認のため、まず図書館で借りてみた。似て非なる、というよりまるで違う魅力があって(ディラックと比較している)、またまたファンになってしまった。これまで理系のテキストに縁がなかったが、これら教科書の文体が<講義>の形をとるのは面白く、すらすらと述べていたかと思うと「しかし,ここではそんなややこしいことはしないとして進もう.」などと地の声が響いてくる。直交座標に描かれた卵形<Kepler運動におけるp-qトラジェクトリ>や毛糸のカセのような<トラジェクトリの断熱的変形>の図に心惹かれる。
教科書もいいけれど全12巻の朝永振一郎著作集には『鳥獣戯画』や『紀行と閑談』の文字も見える。幼少時は病弱で雨戸の孔から差し込む光が室内に景色を逆さに映すカメラオブスクラを熱心に眺めた少年だったとか。
好きに積んだ書物のあちらを開いたりこちらを開いたり、が愉しいと思う今日この頃。